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はじめに

1997年12月に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)で採択された、気候変動枠組条約に関する京都議定書を受け、日本建築学会として建物の長寿命化を行うことが地球温暖化防止に貢献すると答申しました。
また、文部科学省(以下、文科省)は「学校施設の長寿命化改修の手引き」を平成26年(2014年)1月8日に公表しました。その内容を以下にまとめますと、

・学校施設は公共施設の約4割を占めている。
・小中学校は建築後25年以上が約7割を占め、老朽化対策が深刻である。
・古くなった校舎は全面的に立て替えるのでなく、部分的な改修により耐久性を高めたい。
・現状は築後40年で建て替えていたが、適切な改修で寿命を70~80年に延ばしたい。
・コストを抑え、建て替えと同等の環境の確保、排出する廃棄物量も少ない「長寿命化改修」への転換がもとめられている。の通りです。

そこで、建物の長寿命化改修は社会貢献に必須であり、アロン建材シリーズ(外壁・屋根防水改修)の効能と40年の施工実績を踏まえ、Q&Aの形で整理しました。

 

第1章 長寿命化改修の基本事項

Q1 長寿命化改修とは何ですか?

例えば文科省の考えは、
① 構造躯体の経年劣化を回復するもの
② 耐久性の優れた仕上材へ取り替えるもの
③ 維持管理や設備更新の容易性を確保するもの
です。

① 経年劣化の回復は、外壁の劣化部を「アロンACC工法」による、ひび割れ(アロンウオールSH)、鉄筋の防錆処理(アロンカチオクリート)、不陸調整(アロンカチオクリート)、剥離部の埋戻し(アロンカチオクリート厚付)、剥落防止(アロンウオール・ピン・ネット工法)の下地処理工法で経年劣化を回復させます。その後、アロンウオールを施工して、外界からの劣化因子である、雨水(全ての劣化に結びつく)、塩分(塩害)、二酸化炭素(中性化)、酸素(鉄筋腐食)の壁体内への浸透を阻止して建物の劣化の進行を止めます。

② 耐久性仕上材への切り替えは、外壁はアロンウオールの採用により、これまでの実績から15年程度(防水保証は10年です)は、ノーメンテンナスで防水・化粧機能を維持します。屋上防止アロンコートSQおよびアロン防錆コートも同様の耐久性を有しています。

③ の維持管理の容易性は、塗膜自体の劣化が少ないため、改修時には既存の塗膜を剥ぎ取ることなく、そのまま塗布する既存トップコート同一材料によるリフレッシュ工法を適用できます。

Q2 どの程度工事費をさげることができますか?

塗膜のひび割れ追従性(30年後)とその20年毎のメンテナンス工法(リフレッシュ工法)を示します。

外壁用塗膜防水材の特長は、(1)改修時に剥がさずに塗り重ねられる。(2)独自のリフレッシュ工法を持っている。の2点です。そこで、汎用的に用いられている外装材(例えば可とう型改修用仕上塗材)との、60年間にわたってのライフサイクルコスト試算してみました。

【算定条件】
(1) 外壁用塗膜防水材、そのリフレッシュ工法
(2) 汎用外装材(可とう型改修用仕上塗材)
(3) 施工時の足場仮設費
(4) 改修時の既存塗膜の剥離(汎用外装材による改修では、20年に1回剥ぎ取る)

試算の結果では、初期では外壁防水材はコストが高いものの、改修10年目には、外壁用塗膜防水材の方が累積改修費は安くなっています。耐久性の優れた塗材であれば、10年以降のライフサイクルコストは安くなります。塗材のコスト以上に「仮設足場費」と「劣化塗膜の剥ぎ取り費」の方が、より厳しい負担増となってきます。結局、外壁防水材は、初期コストは高いですが、60年スパンのような長い目で見ればお得ということになります。また、その間、建物への雨水の浸入を防止して、快適な住居環境かつ建物自体の長寿命化も図っており二重にお得と言えます。
このことは、同様に耐用年数が15年程度はある、屋上防水材「アロンコートSQ」、アロンQD防錆コートにも同様なことが言えます。

Q3 どの程度廃棄物が減りますか?

アロン建材シリーズで改修した場合、10年から20年後の改修時に、既存塗膜の劣化はほとんどないため、剥がさずに、単に塗り重ねるだけで改修ができます。そのため、廃棄物を出さずに例えば、40年間長寿命化できます。廃棄物が出るのは、建物自体の解体時となります。

Q4 鉄筋コンクリートの法的年数を超えて建物を使用できますか? 
長寿命化改修によりどの程度寿命を延ばすことができますか?

■ 法定耐用年数「鉄筋コンクリート造」は47年ですが、築後45年程度までに適切な改修を行うことで、改修後30年以上は耐用年数を延ばすことができます。

■ 「物理的耐用年数の延長」鉄筋コンクリート造の建屋では、コンクリートのひび割れ・欠けや鉄の腐食などの劣化が生じても、「アロンACC工法」による下地処理後、「アロンウオール」を施工すれば、耐用年数を30年以上は延ばせます。

Q5 長寿命化改修工事の具体的な工程について教えてください。

■「大まかな流れ」として、以下のように実施します。
1. 既存建物の図面調査
2. 現地調査
イ.コンクリートのひび割れ  ロ.コンクリートの中性化深さ
ハ.コンクリートの強度の調査 二.鉄筋の腐食状況調査
ホ.鉄器のかぶり厚さの調査
3. 長寿命化改修の計画・設計の検討
4. 補強が必要となった場合は、別途協議

 

第2章 長寿命化改修 各論

Q6 鉄筋コンクリートに生じる劣化現象にはどのようなものがありますか?

■コンクリートのひび割れ
■コンクリートの中性化と鉄筋の腐食
■塩害(外部塩害と内部塩害)
外部塩分:海岸地区での飛来塩分や凍結融解剤
内部塩分:除塩が不十分な海砂使用、化学混和剤
■凍害
■アルカリシリカ反応によるひびわれ

鉄筋コンクリート増の劣化に全て水が絡んでいます(下図参照)。鉄筋腐食(中性化、塩害)は化学反応です。水がなければ腐食反応は生じません。アルカリ骨材反応も水と反応性骨材とは反応して水ガラスとなり、吸水膨張でコンクリートがひび割れます。凍害は水の凍結膨張(9%の体積膨張)によってコンクリートにひび割れを生じさせます。水の浸透を防止すれば、外壁の寿命を延ばせます。そのために外壁を防水することが必要です。屋根は当初から防水していますから、屋根からの雨水の浸透はないはずです。

コンクリート劣化の進行速度をManningがIABSE(1992)に発表した論文2)では、劣化が早いのは、塩害、アルカリシリカ反応、凍害であり、中性化は人間の老化に似ている。
したがって、早期劣化の塩害、アルカリシリカ反応に対応することが重要です。

2) Manning D,G.(1990). GSomervile(ed.).Design life of concrete highway structures-the North American scene. British Group of IABSE Colloquium, Cambridg, July, The design life of atructures. Blackie (an imprint of Chapman and Hall),Glasgow and London,1992,p.144-153

Q7 鉄筋コンクリート劣化対策はどのように行いますか?

(1) ひび割れ対策
“ひび割れ幅が0.3mm以上あると劣化要因物質がコンクリート内部まで容易に浸透しやすい。“と指摘されています。アロンウオール塗膜は、30年後も1.0mm以上の単純ひび割れ追従性があることを実物件から採取した塗膜で実証しています。また、ひび割れ緩衝材としてアロンウオールSHをひび割れ部に沿って塗布することにより、従来のVカット、またはUカットによる処理をしなくてよく、SH処理にすることでコストを約1/4に低減できます。アロンウオールSH処理仕様は、国土交通省の建築工事改修監理指針のアクリルゴム系外壁用塗膜防水工事(平成25年版)に記載されています。

(2) 中性化対策
〇樹脂性塗膜やタイル仕上げなどの防水対策
〇中性化抑制やアルカリ性付与剤の塗布
〇再アルカリ化工法

 防水対策となるアロンウオールは、中性化防止効果と既に中性化した箇所をアルカリ性に復元する効果を共同研究及び実物件データより示します。   

アロンウオール塗膜の中性化率3)
日本建築学会標準仕様書JASS5「鉄筋コンクリート工事」に中性化抑制に関し、“耐久性上有効な仕上材を施した場合は、かぶり厚さを10mm減じることができる。仕上材を施さない場合の最小かぶり厚さが”40mmの場合および30mmのものに仕上材を施してかぶり厚さを10mm減じるためには、中性化率は、おおよそ0.6以下であれば効果があることになる”とされている(p.199)。
アロンウオール塗膜の中性化率は、(64週(448日)時点での塗装なしとアロンウオール塗装品との中性化深さ比)は2.1mm/35.3mmで0.06となり、JASS5の示す効果があるとされる中性化率0.6の約10倍優れている。以下の図に試験結果を示す1)

3) 井原、松原、大澤、阿知波、谷川、有機・無機ハイブリッド型塗料を用いた中性化抑制システムに関する研究 その3 中性化抑制を有するクリヤ塗装システムの性能評価、日本建築学会大会学術講演梗概集、pp.983-984、2012年.9月(東海)

② アクリルゴム系塗膜による中性化復元効果の実証(日本大学との共同研究)4)
(日本大学 生産工学部 建築学科 笠井芳夫 教授との共同研究:1988))
実構造物(3物件)で既に中性化したコンクリートにアクリルゴム系防水材を塗布し、4~8年後に中性化深さを測定した。その結果、中性深さ12.5mmが8年後に7.1mm(5.4mmの中性化復元【写真物件】)、9.8mmが6年後に8.0mm(1.8mmの中性化復元)、27.6mmが4年後に1.5mm(26mmの中性化復元)となっていることが分かった。これは、コンクリート内部の湿気の移動により、中央部の健全なセメントのアルカリ部が表面の中性化部に拡散・移動してアルカリを付与させたためと考えられる。

4) 笠井芳夫、谷川伸、竹本孝夫、永井健太郎:防水材被覆中性化コンクリート壁の経年による中止化深さ変化に関する研究、日本建築学会大会学術講演梗概集(関東) pp.409-410、昭和63年(1988)10月,

③ ひび割れ部での中性化抑制効果(東京工業大学との共同研究)5)
東京工業大学 建築物理研究センター 田中享二教授の研究結果(2006)で、“コンクリートの炭酸化抑制に仕上げ塗り材や防水材の塗布は有効である。しかし、鉄筋コンクリート建物は常にひび割れを生じており、その場合でも塗材はひび割れに追従してひび割れ部での中性化の進行を抑制しなければ中性化防止効果があるとは言えない。”と示しています。炭酸ガス濃度10%の1ヶ月の促進試験で、一般部では中性化深さが10mm程度に対し、1mmm幅のひび割れ部では83mmに達した。アロンウオールはひび割れ部に追従し、中性化抑制効果を示した。以下の写真に塗膜のひび割れ部での伸長状態とひび割れ部での中性化抑制効果を示します。

5) 塚越雅幸、宮内博之、田中享二:塗膜防水層下のコンクリートひび割れ部分の炭酸化;日本建築学会建築学会構造系論文集、第606号、p.43-50,2006.8

(3) 塩害対策として

① 改修時に塩分、ひび割れ、マクロセルを内在する場合のアロンウオールによる改修効果(旧建設省 建築研究所 コンクリート研究室 桝田佳寛室長との共同研究)6-8)
補修対象のコンクリート造の劣化状態を、「実験Ⅰ」は外的な損傷はないが、内部に鉄筋腐食要因(塩分、水分、中性化)を内在、「実験Ⅱ」は断面修復材と旧コンクリート界面に生じる濃淡分布(マクロセル)、「実験Ⅲ」はひび割れが鉄筋まで達している場合、の3種類に分類して実験した。
促進試験は高温(60℃)高湿(40%RH⇔100%RH)劣化試験、塩害促進劣化試験(3%塩水シャワー⇔50℃乾燥)を行い、自然暴露(1~3年)を実施した。塩分0.6%までの供試体で、コンクリートのかぶり厚さを50~100mm厚さ増加させた塩害防止効果を示した。鉄筋腐食は塩分濃淡部界面で生じやすいこと、塗材の樹脂量が少ないと鉄筋腐食防止効果が小さい(1990)。試験体の暴露状況を写真(北海道紋別市、つくば、沖縄)に示す。

6) 桝田佳寛、安田正雪、谷川伸、入田一:アクリルゴム系弾性塗膜材による鉄筋コンクリート造の塩害防止に関する実験、コンクリート工学年次論文報告集 12-1,p.495-500,1990

7) 桝田佳寛、安田正雪、谷川伸、武田晋司:アクリルゴム系弾性防水材による鉄筋コンクリート造の塩害防止に関する効果の評価、コンクリート工学年次論文報告集 13-1,p.545-550,1991

8 )S.Tanikawa, H.Irita, Y.Masuda, M.Yasuda, “Experimental on the Protective Effect of Acrylic Rubber Coating on thee Durability of Salt Contaminated Concrete”, Durability of Building Materials and Components 6, 1993.8.Tokyo, pp.431-440

② 沖縄海岸での10年暴露で塩害防止効果を実証(琉球大学との共同研究)9)
10年目の結果は、“初期塩分を無しの鉄筋コンクリートでも被覆しないと、暴露3.年6ヵ月で鉄筋腐食により0.1~0.3mmのひび割れをコンクリートに生じた。一方、アロンウオール施工部は10年後も鉄筋腐食およびコンクリートのひび割れもなかった。
初期塩化物イオンを0.3%(JASS 5の許容塩化物イオン量0.3kg/m3の24倍)を有す
るコンクリートでは、無塗装部はわずか暴露3か月で鉄筋腐食による0.1~0.3mmのひび割れが生じた。アロンウオール施工部は、7年目に0.1mmのひび割れが生じた。これより、初期塩分の無いコンクリートでは、塗膜による水分、空気(酸素)、および新たな塩分遮断でほぼ完全に鉄筋腐食を抑えることを示している。しかし、多量の塩分を含むコンクリートに対しては、鉄筋腐食を完全に抑えられないが、鉄筋腐食速度を28倍(0.25年(3か月)/7年=1/28)遅延させることが分かった。

9) 谷川伸、山田義智、大城武、川村満紀:厳しい塩害環境下での鉄筋コンクリート構造物の耐久性に関する研究(アクリルゴム系防水材の効果) 日本建築学会論文集 第487号、11-19,p.11-19、1995.9

③ JASS 5 「鉄筋コンクリート工事」25節 海水の作用を受けるコンクリートに、アクリルゴム系塗膜が塩害防止の標準工法として記載10)
“重塩害環境での塩害対策のひとつとして、コンクリート表面に塩化物イオンの透過性が小さい表面被覆材を 施すことが考えられる。・・・・表面被覆材の遮塩性能には幅があるが、アクリルゴム系塗膜は、飛来塩分をほぼ完全に遮断するとの報告がある。”
沖縄の塩害暴露試験結果が引用された。

*JASS 5補足(p.599 25.3 「品質」の項の記載
C.塩害環境に位置し、計画供用貴下の級を標準、長期または超長期とする場合の塩害対策は次に(1)~(3)のいずれか、またはその組み合わせとする。
(1) コンクリート表面に塩化物イオンの東亞性が小さい表面被覆材を施し、コンクリート中への塩化物イオンの浸透を抑制する。 (2) 鉄筋の防錆処理する。または耐食鉄筋を仕様する。(3) その他特殊な鉄筋腐食抑制補法を採用する。 なお、(1)~(3)については、その効果が確かめられた方法を用いる。

10) 日本建築学会 建築工事標準仕様書・同解説 JASS 5 鉄筋コンリート工事、p.604

④ JASS 5N 「原子力発電所施設における鉄筋コンクリート工事」の13節 特殊なコンクリート、海水の作用を受けるコンクリートの項に「アクリルゴム系塗膜」が塩害防止の標準工法として掲載11)
総則「コンクリートの外表面には、塩化物の浸透を抑制する仕上げ材を施す。仕上げ材の種類は、特記による。
“鉄筋の発錆には水と酸素の存在が不可欠だが、塩化物の存在はそれを助長する。このため、波しぶきや海塩粒子の作用を受けたコンクリートに関しては鉄筋の位置まで塩化物を浸透させないことが重要である。本項では、水セメント比やかぶり厚さに関して、塩化物浸透を阻止するために厳しい制限を設けているが、コンクリートの品質を高めたり、かぶり厚さを増すだけでは十分な耐久性を確保することが困難な場合も予想される。したがって、コンクリートの表面には塩化物の浸透を抑制する効果のある仕上げ材を施すことにした。仕上げ材の選定にあたっては、塩化物の浸透抑制外に、次のような性能を兼ね備えたものがよい。すなわち、下地のコンクリート躯体の伸縮やひび割れの動きに対する追従性、下地との密着性、外部からの水に対する防水性、酸素や炭酸ガスに対する遮断性、および美装性、さらにはこれらの諸性能を長期持続させるとともに、維持管理の容易さを含めた仕上げ材自体の耐久性が高いものがよい。
塩化物の浸透抑制を目的としたコンクリート面の仕上げ材で近年研究の進められているものに、塗布あるいはライニングで表面を被覆する塗膜系塗料や含浸系による表面処理を行う含浸系塗料があり、数種類の樹脂系塗料は塩化物浸透を抑制する効果の大きいことが確認されている。一部では、伸長複層形のアクリルゴムやウレタンゴム系塗料が実際に建築物外壁などに使用されている。なお、同系統の材料でも銘柄によって特性がかなり異なるため、使用にあたっては十分に諸特性を吟味する必要がある。
参考資料として、・・・・・解説図13.4.4のようにアクリルゴム系塗膜が塩化物イオンの侵入を防ぐ効果があることが10年間の暴露試験によって明らかにされている。・・・・塗膜系塗料、含浸系塗料のいずれも、塗料自体の耐久性が重要である。したがって、初期性能のみならず、塗料の経年劣化に関しても知っておくことが重要で、それに応じた維持管理計画を立てておく必要がある。

*注)塗装部で浸透した塩分は、実大のコンクリート構造物建設後、アクリルゴム系塗材施工までの4か月間に浸透したものである。

11) 日本建築学会 建築工事標準仕様書・同解説 JASS 5N 原子力発電所施設における鉄筋コンリート工事、p.308-309

(4) 凍害対策
アクリルゴム系塗材の寒冷地でのコンクリートの凍害防止実験12)
北海道大学 工学部(建築) 鎌田英治教授との共同研究(1992~2005)成果を示します。寒冷地(北海道紋別市)での、コンクリートに対するアクリルゴム塗膜の凍害防止効果を実験した。コンクリート供試体は凍害を促進するために消泡剤を使用して目標空気量を1%とした。供試体は箱型とし、内部に砂を入れて水が溜まる構造とした。さらに上端部はつばをつけ建築物の庇(ひさし)の形状を模擬した。写真は空気量1%の13年後の状況である。被覆したコンクリートは凍害を受けなかったが、被覆しないものは、つば部では著しい凍害を受けた。

12) 谷川伸、入田一、鎌田英治、田端雅幸:北海道紋別市での表面塗材による鉄筋コンクリートの凍害・塩害防止効果に関する暴露実験、第7回 オホーツク海と流氷に関する国際シンポジウム講演要旨集、p.150-154、1992

(5) アルカリシリカ反応対策
アルカリ骨材反応(ASR)劣化に対する抑制
異なる自然環境下(温度、外部塩分の影響)でのASRによる膨張とひび割れ

金沢大学 工学部(土木建設) 川村満紀教授らと、共同研究(1984~1994)成果13-15)を以下に示す。 供試体と暴露状況(内陸:金沢大学工学部屋上/海岸:松任海岸)を示す。

 アクリルゴム塗材被覆品の屋上暴露での膨張量を示す。暴露8.6年後も単位セメント量300~400kg/m3までのコンクリートに対して、ASR膨張とひび割れ抑制効果を発揮した。単位セメント量が400kg/m3の供試体の非塗膜品にはASRによるひび割れが多く認められた。被覆品は、上面の塗膜部を剥ぎ取ってコンクリート表面を露出させて観察したが、ASR膨張によるひび割れは認められなかった。建築物の単位セメント量はJASS5「鉄筋コンクリート工事」では270kg/m3以上と定められ、400kg/m3は約1.5倍量となっている。アルカリ骨材反応はアルカリ量に比例して反応が進むため、建築建物では、1.5倍の促進となっている。

内陸暴露のコンクリート表面のひび割れ(アクリルゴム塗膜部は剥ぎ取ってコンクリート面を露出させた。塗膜部にはひび割れの発生はなし)

海岸暴露結では、単位セメント量が450kg/m3塗では塗膜部のASR抑制効果が現れている。ASR膨張率は、海岸よりも日射による温度上昇が高いと思われる屋上の方が大きかった(温度の膨張促進影響大)。

13) 竹内勝信、川村満紀、鳥居和之、谷川伸:自然環境下に曝露したコンクリートのアルカリシリカ反応による膨張とひび割れ、コンクリート工学論文集、第6巻第1号、p.11-19、1995.1

14) M.Kawamura,K.Torii,K.Takeuchi and S.Tanikawa, Expansion and Cracking to Alkali-Silica reaction in Concretes under The Two Different Environments, The 9th international Coference on Alkali-Aggregate reaction in Concrete,London,1992.7p.519-526

15) 谷川伸:Rubber Coating to Control Alkali Silica Reactivity―弾性被覆材によるアルカリ骨材反応の抑制―、道路建設材料に関する国際セミナー-北陸道路研究会50周年と川村満紀教授の退官を記念して-2003.10、p.89-106

Q8 劣化状況に違いにより補修費用はどのように変わりますか?
鉄筋コンクリートに生じる劣化現象として鉄筋の腐食が最も重要で、その程度が重度になればその分だけコストは上がります。「劣化状況に対応した補修・改修方法の変化」は以下の通りです。
・軽度:アロンウオール外壁防水材の施工
・中度:アロンウオールSH処理+アロンウオール外壁防水材による表面被覆工法の実施
・重度:アロンACC工法(下地処理と鉄筋防錆処理後)、アロンウオール塗布
Q9 外壁仕上材の劣化とその対策法について教えてください。

(1) 劣化現象
塗膜の劣化現象としては、雨水、紫外線、熱の影響で変色、チョーキング(白亜化)、ひび割れ、浮き、剥がれが生じます。

(2) 対策方法
ひび割れ、浮き、剥がれ等を生じましたら、アロンウオールの場合は専用のリフレッシュ工法を実施します。概ね15~20年後となります。

Q10 屋根材や外壁材で、耐久性の高い材料にはどのようなものがありますか?

(1) 屋根材では屋根用塗膜防水材(アロンコートSQ)

1) 技術審査証明での裏付け
アロンコートSQは、「建設技術審査証明」を取得しており、品質、性能が裏打ちされています。アロンコートSQは国土交通省大臣官庁営繕部監修の「公共建築改修工事標準仕様書」に記載されている、ウレタン系塗膜防水材「X-1(絶縁工法)」、「X-2(密着工法)」に類すると記載されています。<

  

2) 経年調査による耐久性の実証
約15年経過したアロンコートSQ塗膜のゼロスパンテンション伸び(ひび割れ追従性)量は、初期塗膜に対して半減していますが、健全部では4.1mm以上、塗膜損傷部でも2.4mm以上保持しておりました。

  

 小中学校の屋上に施工した、アロンコートSQの13.5~16年後の調査結果を以下の写真インフラストラクチャー示しました。何れも良好な状態でした。

 一方、ウレタンゴム系は、13年経過後、下地のひび割れに追従できずに破断したり、塗膜が紫外線劣化、加水分解等で消失していました。ウレタンゴム系はトップコートで耐久性を持たしており、トップコートが劣化して無くなると、ウレタンゴム系防水材の劣化が急激に進みます。アクリルゴム系のアロンコートSQは仮にトップコートが劣化して無くなっても露出しても防水材としての耐久性は変わりません。

(2) 外壁材ではアクリルゴム系外壁用塗膜防水材(アロンウオール)
アロンウオールの耐久性は、以下の組成で確保されています。
1.主材注意の固形成分は70%以上
2.主材乾燥塗膜中のポリマー(アクリルゴム)量55重量%以上
3.ポリマー中の2-エチルヘキシルアクリレート(HA)の量は90%「以上
4.塗膜中の可塑剤等の抽出成分は1%以下
以上4つの特性を有すれば、少なくとも10年以上の耐久性はあります。

(3) 鋼板屋根(折半、瓦棒)の防水・防錆(アロンQD防錆コート)
高弾性厚膜アクリルゴム系防水・防錆工法で鋼板を保護します。

Q11 屋上の防水改修はどのように行えばよいですか?

耐久性の高いアロンコートSQを用いる改修工法の仕様例は、以下の通りです。
1.露出密着工法SQ-S(RC)-L   ウレタンゴム系のX2に類します。
2.露出通気緩衝工法 SQ-KS-N     〃    X1に類します。
3.アスファルトシング葺屋根改修専用工法 SQ-AS-N
4.勾配屋根露出密着工法 SQ-K(RC)-N
5.砂付露出アスファルト防水改修専用工法 SQ-M-N
6.露出密着工法 SQ-S(RC)-L(軽歩行)
7.RC造ドーム屋根7露出密着工法 SQ-KD-N
8.露出密着工法 SQ-S(RC)-N(非歩行)   ウレタンゴム系のX2に類します。

Q12 劣化に強い防水材にはどのようなものがありますか?

 外壁防水材「アロンウオール」は実物件で約30年経た塗膜を剥ぎ取ってひび割れ追従性を測定しています。また屋根用塗膜防水材約15年後、実際の塗膜を剥ぎ取って同様な試験を、行っております。その結果、紫外線、熱劣化、乾湿繰り返し、温度差、下地コンクリートのアルカリ性による加水分解等を受けても、十分なひび割れ追従性を有していることを確認できました。ただ、コンクリート構造物は60年以上の耐用年数を目指しています。アロンウオール等も実際、100年、200年レベルでどうなっているかを紫外線劣化に絞って超促進耐候性試験(メラルウエザー試験で200年相当の試験を行った結果を如何に示しました。トップコートは割れましたが、防水層は健全でした。これも長期の耐久性を想定する上で参考となると考えています。

Q13 環境配慮をするために、どのような点に留意すればよいですか?

 学校体育館の鋼板屋根に防錆・防水のために、「アロンQD防錆工法」を施工しますと、厚膜で柔軟な塗膜のため、これまで雨音でうるさかった室内が約1/3程度に弱められます。
また、遮熱工法により、日射時の表面温度が20℃下がっていました。その分室内の温度も下がりますし、冷房費を節約できます。また、従来の張替工法に対し、塗るだけの軽い工法で屋根に重量的な負担を掛けないため、耐震性を損なうことはありません。

 

第3章 長寿命化改修と併せて検討したいこと

Q14 予防保全とはどのような考え方ですか?

 予防保全の中に、“長期修繕計画”といして、“マンションでは長期修繕計画を立てて定期的に大規模修繕を行うことが最近では 当たり前になってきています。これはマンションの試算価値を下げないことが第一の目的ですが、このおかげで建物が良好に保たれて居住者が安心して長く住めています。長期修繕計画を立てると、将来必要となる費用の予測ができます”と記載されています。外壁用「アロンウオール」、屋根防水材「アロンブルコートSQ」、鋼板屋根防錆・防水「アロンQD防錆」とも、実質15年程度の耐久性が実証されていますので、例えば、新設後15年後にアロンで改修し、総寿命として60年間持たせるためには、30年目に1回目、45年目に2回目のアロンの改修工事を実施すれば良いことになります。その場合、旧塗膜は剥がさずに塗り重ねる工法で改修でき廃棄物が出ません。それは、塗膜劣化が小さく、下地に対する付着強さは60年以上維持しているため可能となる工法です。

まとめ

 屋根・外壁を含め防水をすれば、建物全体の長寿命化ができます。鉄筋コンクリート造では屋根スラブ、壁、柱、梁等の部材に雨が浸透しますとそこから鉄筋腐食が生じます。鉄筋腐食が最も厳しい劣化( 文科省マニュアルより)であり、その対応策を取るのが最も重要と記しています。屋根防水材・外壁仕上材の材料の耐久性が、建物の長寿命化の鍵を握っています。